こんにちは、SAKIです。
皆さんは自分が何気なく捨てているゴミの行方について考えたことはありますか?
大抵の方はゴミの日に指定場所に出したり、マンションの収集場所に置いたりしてゴミを捨てていますよね。
そして回収日になると大きなトラックがやってきて、大量のゴミをあとかたもなく持ち去ってくれる! まるで魔法のように消えてしまい、もう二度と捨てたゴミのことを考える日なんてないのでは?
でも、私たちが「捨てた」という時、それは本当はどういう意味なのでしょうか?
「捨てた」ことで、確かに私たちの視界から消えたかもしれないけれど、実際はどこかでまだ存在し続けているかもしれません。
ゴミを処分するということは、商品を作るために使われた貴重な資源が無駄になると同時に、それらを処分するための膨大な費用も発生します。また、ゴミを処分する過程で起きうる環境汚染なども忘れてはいけません。
…などと、偉そうなことを書いてしまいましたが、これはすべて最近読み終わった本『ゼロ・ウェイスト・ホーム ーごみを出さないシンプルな暮らし』(著者:ベア・ジョンソン)からの受け売りなんです。
今までゴミを捨てることでスッキリしてきた私でしたが、「捨てる」ことは賞賛されるべきことではなく、そもそもゴミになるものを持たず、「捨てるという行為自体を減らす」ことが大切なのだとこの本に教えられました。
Contents
年間1リットルまでゴミを減らした家族の話
本のタイトル『ゼロ・ウェイスト・ホーム』の「ゼロ・ウェイスト」って何だと思いますか?
本書では「ゼロ・ウェイストとは、ゴミをできる限りなくそうとする様々な取り組みに基づく理念」と定義されています。
本の概要『ゼロ・ウェイスト・ホーム』
米国・カリフォルニア在住の女性による、シンプルでモノを持たない暮らしの実践方法が紹介された本です。
といっても、単なるミニマリストのお話ではありません。地球上からゴミになる要素を減らすことを理想に掲げ、健全な地球環境を後世に繋ごうと行動している活動家の本でもあります。
実際に著者がどのようにゴミを減らしてきたのか、具体的な方法もたくさん紹介されています。「台所と買い物」「仕事部屋」「子育てと学校」「外食・旅行」など、生活シーンに応じた実践的なアイデアが紹介されていて、様々な角度から暮らしを変えていくヒントが散りばめられています。
そして、リフューズ(断る)、リデュース(減らす)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(資源化)、ロット(堆肥化)という5つの基本ステップをもとに、取り組み方が紹介されているので、興味のあるところから読み進めたり、身近なところから少しずつ始めることができます。
持続可能でシンプルな暮らし方の提案のみならず、人生で大切なことや見つめ直すべきことに気づかせてくれる一冊。先進的で洗練された暮らしぶりも必見です。
著者ベア・ジョンソンのプロフィール
著者のベア・ジョンソン(Bea Johnson)さんは、1974年フランス生まれの女性。現在アメリカのカリフォルニアで、環境コンサルタントを営む夫と息子2人で暮らしています。
2008年から家族ぐるみで「ゼロ・ウェイスト」生活をスタートさせ、同年から1年間に出すごみの量をガラスジャー1瓶に抑えているのが話題に。
その驚くべき挑戦と、優雅で洗練された暮らしぶりを伝えるブログ「Zero Waste Home」は月間25万PVを記録し、2011年にはアメリカの環境問題に貢献した個人を称えるGreen Award大賞を受賞。「ゼロ・ウェイストの伝道師」として、講演会などで世界中を精力的に飛び回っているそうです。
2013年に刊行された本書『ZERO WASTE HOME』はベストセラーとなり、既に25ヵ国語に翻訳されています(日本での初版は2016年)。
驚愕!年間で1リットル弱のゴミの内訳
家族4人で1年間に出すごみの量はわずか1リットル弱!というジョンソン家。この数字がどれだけ凄いかっていうと、アメリカの一世帯が出す年間のゴミの量は平均で1トンなんだそうです。
分かりやすく比較すると、牛乳パック1本と自動車1台分もの差があるんです。
そんな凄い家族が認めたゴミって、一体どんなものか気になりますよね。
ベア・ジョンソンさんのブログで公開されている、2016年のゴミの内訳の画像を下に掲載させていただきました。
たったこれだけ!
上の画像がガラスのジャーに入った1年分のゴミ。そして下の画像がクロスの上に中のゴミを並べたものです。詳しい内容は著者のブログで確認できますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
≫ WHAT’S IN OUR 2016 JAR OF HOUSEHOLD WASTE?
5つのR〜ゴミを生まない5つのステップ
上の画像を見て「私には無理」と思った方!
そうですよね。あれは極端な例だと私も思うし、そこまでストイックになる必要はないと思います。
でも、毎日出るゴミの量を、今の半分くらいにまで減らすことなら可能に思えませんか?
家庭ゴミを減らすには、次の5つのステップを踏むことで実現しやすくなります。
下図にあるとおり、上から①Refuse(断る)②Reduce(減らす)③Reuse(繰り返し使う)④Recycle(リサイクルする)⑤Rot(堆肥化)を順番に実行することで、ゴミの量は可能な限り減らせるんです。
本書にはそれぞれのRについてとても詳しいアイデアが掲載されていますが、ここでは全てを伝えきれないので、簡潔にご紹介します。
①Refuse(断る)
考えてみると、家にあるゴミのほとんどは、家の外から中に持ち込まれて発生したものです。
購入した食料品や日用品等のパッケージや、ポストに投函されるDMやチラシに、クリーニング店から持ち帰るビニール袋、イベントで配られた試供品や、宅配で届く商品の入った箱や梱包材などなど…。それこそ枚挙に暇がありません。
1番最初に行うべきステップ「Refuse(断る)」は、これらの外から入ってくるゴミ予備軍に防衛策を講じるものです。
例えば、始めやすいのはレジ袋ですが、コンビニやスーパーに限らず、洋服や家電を買いに行くときでも、プラ袋や紙袋は断り、マイバッグに入れて持ち帰ることでゴミは減らせます。
また、会員登録しているお店やサービスの郵送のDMは送付されない設定にするか、企業側にメールやフォーム、電話などでダイレクトメールの停止を依頼します。
すぐにゴミがでるペットボトル入りの水は買わずに、ブリタのような浄水ポットを用意して美味しい水を作るなどに切り替えます。
とにかく、すぐにゴミになるもの、必要のないものはきっぱりと断る習慣を身に付けることで、ゴミは意外と簡単に減るはずです。
②Reduce(減らす)
次のステップは「Reduce(減らす)」です。これはミニマリストがいいお手本になるでしょう。自分にとって本当に必要なものは何かを見極め、振り分けていく作業が必要になります。
まずは、すでに持っているもので、興味を失ってしまった趣味の道具や、買ったのに全く着ていない洋服、衝動買いしてしまった雑貨など、自分のライフスタイルに不要と感じたものはすべて手放しましょう!(※ゴミとして捨てるのは待ってください!「ゼロ・ウェイスト」の理念に反します。モノを生かしながら手放す方法はいくつもあります。)
次に、今後モノを買う時は慎重になること。何かを買いたいと思ったら、必ずその必要性を問い直しましょう。必需品でもないのに、衝動的に欲しいものが現れたら、一度「ほしいものリスト」にメモしておいて、せめて2週間から1ヶ月寝かせておきます。すると大抵の場合、購買欲は収まってしまうはず。それでもまだ欲しいと思う時だけ購入を考えてもいいのでは?
こうした衝動的な「欲しい!」は、特に雑誌やテレビなどの宣伝・広告に心を動かされていることが多いので、必要のないものまで必要と思い込んでしまう傾向があります。今後、こうした「買いたい衝動」を煽るようなメディアに触れる機会を減らせれば、今持っているもので満足できて、幸福感も増すかも。
③Reuse(繰り返し使う)
「リユース」と「リサイクル」を混同している人が結構いますが、この2つは資源環境の形が大きく異なります。
「リサイクル」は「製品を再加工して新たな形に作り変えること」ですが、「リユース」は「最初に作られた製品の形のままで何度も使うこと」を意味します。この点で、再加工時のエネルギーを必要としない「リユース」の方が確実に環境に優しいことが分かります。
だからこそ「Reuse(繰り返し使う)」というステップは、リサイクルの前に来るのです。古くなったからといってすぐに新しいものに買い換えるのではなく、今持っているものを最大限に使い倒す気持ちが大切です。(ただし、使い捨てを前提に作られたものや、劣化しやすいプラスチック製品などには注意。)
また、何かが一時的に必要になった時は、持っていないからといって買うのではなく、レンタルサービスやシェアリングを利用するという手があります。年に一度の海外旅行用のスーツケースとか、結婚式に参列するためのドレスとか、久しぶりのドライブ用の自動車とか。
セカンドハンドを買うというアイデアもあります。本は古本屋に、洋服は古着屋に行けばよいし、フリーマーケットなら様々なジャンルの品物が並んでいそうです。これこそリユースの有効的な活用例ですよね。
このように、リユースは限りある資源を有効活用できる素晴らしいステップです。
④Recycle(リサイクルする)
私たちは時々、捨てるものを、燃えるゴミ、プラスチック類、ビン、缶などに分類してゴミ出しする行為をさして「Recycle(リサイクルする)」と言っている場合があります。そして、そのあとは業者か誰かがうまくやってくれるものと思い込み、「リサイクルした」気になっていませんか。
頑張って分別して送り出した資源ごみがきちんとリサイクルされているかというと、そうでないものもあります。特にプラスチックはリサイクルが難しい素材で、日本でのリサイクル率は25%のみ。残りの57%は熱回収され、18%は未利用のまま焼却または埋め立てられます。(参考:環境省ープラスチックを取り巻く国内外の状況)
一番割合の大きな熱回収は、サーマルリサイクルとも呼ばれ、廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用することです。一般に、リユース、マテリアル・ケミカルリサイクルが困難(技術的に困難、あるいは投入資源・コストに対し割に合わない)となった廃棄物に対して行われています。(参考:Wikipedia)
ただ、熱エネルギーとして利用されているにしても、焼却の際に発生する大量の二酸化炭素や有害物質のことは決して無視できません。
著者は、生産時から焼却時にかけて生涯有害物質を出し続けるプラスチックだけは絶対避けるべきと提言しています。代わりに、ガラスや金属、紙などからできたものを選び、時には堆肥にできる木製のものを使ってきたそうです。
リサイクルの問題は国や自治体が違えば対応も様々で、非常に複雑です。ゴミを出した後の行方を細かく調べ上げるのは大変なので、できる限り「Refuse」「Reduce」「Reuse」を使いこなし、この4番目のステップまで来ないことが理想です。
ゼロ・ウェイスト生活とはリサイクル量を増やすことでなく、ゴミを出すこと自体を防ぐのが目的ですから。
⑤Rot(堆肥化)
ゼロ・ウェイストのための最後の5つ目は「Rot(堆肥化)」です。
あまり聞きなれない言葉ですが、「Rot」とは「腐らせる」の意で、「堆肥化(コンポスト)」を意味しています。
コンポストは、野菜くずや果物くずなどの生ゴミ(有機物)を、微生物や菌の働きで分解させて堆肥にする処理方法、またはその堆肥のことをいいます。
コンポストというと難しそうとか、臭くなりそうとか、不安な気持ちが出てくるかと思いますが、著者曰く、実際にやってみたら全くの杞憂だったそう。考えてみるとコンポストは新しい技術ではなく、昔から行われていた手法なんです。
ちなみに、著者の家庭では、生ゴミだけでなく、オーガニックのワックスペーパーや息子たちのカットした髪の毛、木でできた古い歯ブラシなどもコンポストに入れて堆肥化しているとのこと。
できた堆肥はガーデニングや家庭菜園などに利用でき、理想的な「有機の循環」が可能になるわけです。
おわりに〜ゼロ・ウェイストを次の目標に
いかがでしたでしょうか。「5つのR」のステップの中で、すぐにでも行動できそうなことが見つかったのではないでしょうか。ゴミを減らすことは地球環境だけでなく、身の回りの環境も改善してくれるので一石二鳥ですよ。
私はミニマリストを目指して生活をしてすでに4年ほど経っているので、もう家の中はかなりスッキリして、処分するものはもうほとんどない状態まで来たと思っていたのですが、この本を読んで、それが間違いだと気づかされました。
たとえミニマリストでも、生活していると必ずゴミが発生します。食料品や日用品が入っていたプラ製のパッケージや空き箱、宅配のダンボール、料理の際に出た生ゴミなど、様々です。少なくとも2〜3日に一度は、燃えるゴミやプラごみのゴミ出しをしています。
考えてみると、私が目指したシンプルな暮らしは家具や日用品、衣類などの身の回り品だけを対象にしていたせいで、ゴミのミニマル化にまでは意識が回っていませんでした…。
どこまでやれるかは分からないのですが、本から素敵なアイデアをたくさんもらったので、「5つのR」を柱にゴミ減量作戦を少しづつ実践してみたいと思います。
結果が出たら、また当ブログでご紹介しますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!ではまた〜。