納豆は混ぜるほど美味しくなる〜私が食べず嫌いを克服した理由

納豆

ヴィーガンやベジタリアンにとって、大豆由来の食品は重要なタンパク質源として積極的に食べられています。とりわけ日本には豆腐や納豆といった代表的なソイフードがありますね。私もよくお世話になっています。

今日は、そのうちの納豆について書きたいと思います。栄養や効果についてはあまり触れませんが、食べ方の参考になればと思いますので、納豆大好きという方も、ちょっと苦手という方(私も数年前まではそうでした)もぜひご一読ください。

江戸時代の庶民が愛した「納豆汁」のレシピ

納豆はご存知のとおり、大豆を納豆菌によって発酵させた日本を代表する発酵食品のひとつで、上質なタンパク源となります。

その歴史は平安時代までさかのぼり、江戸時代になると棒手振りと呼ばれる行商人が長屋が立ち並ぶ通りを毎朝売り歩いていました。江戸庶民にも納豆は手軽に買える人気の食材で、納豆汁として味噌汁に入れてよく食べられたそうです。

納豆汁は、すりつぶした納豆を、刻んだ小松菜や豆腐などと一緒に煮た味噌汁です。最近ではあまり納豆汁を作って出す家庭やお店も少ないので食べる機会はほとんどありませんが、意外と美味しいですよ。簡単なので、まだ食べたことのない方はぜひ一度試してみてください。

納豆汁の詳しい作り方はこちらのサイトで紹介されています。

『料理昔ばなし〜再現!江戸時代のレシピ』
江戸で一番人気の味噌汁「納豆汁」

魯山人こだわりの「美味い納豆の食べ方」で苦手意識を克服

さて、納豆の食べ方ですが、みなさんは普段どのように召し上がっていますか?
箸である程度かき混ぜて、辛子にタレか醤油で味付けして食べるのが一般的とは思いますが、かき混ぜる回数などは人によって差が出そうですよね。

納豆

私は数年前まで、納豆が糸をひいて箸や口の周りにまとわりつくのがイヤというだけで、ほとんど食べていませんでした。そんな私ですが、ある日テレビで納豆の美味しい食べ方が紹介されていたのを見て、苦手意識がなくなり、よく食べるようになりました。その理由が、北大路魯山人の「納豆の拵(こしら)え方」にあります。

ちなみに北大路魯山人(きたおおじろさんじん/1883年生ー1959年没)は、陶芸家であり、美食家であり、料理家であり、他にも書道家、画家、篆刻家、漆芸家など、マルチな分野で活躍した芸術家でした。

その魯山人が残した「納豆の茶漬け」というエッセイのなかで、「納豆の拵(こしら)え方」について言及されています。その手順を下記に簡単にまとめてみます。

納豆を器に出して、それを何も加えないで、そのまま二本の箸でよく練り混ぜる。そうすると蓮から出る糸のようなものが増え、かたく練りにくくなってくる。この糸が出れば出るほど納豆は美味しくなるのだから、労力を惜しまず練り返す。

次に、醤油を落としてまた練る。また醤油を数滴落として練る。

糸のすがたがなくなってどろどろになった納豆に芥子を入れてよく攪拌する。この時、好みによって薬味(ねぎのみじん切り)を少量混ぜると一段と味が強くなって美味い。

番組ではこの「納豆の拵え方」を検証するため、かき混ぜる回数によって納豆の見た目や食感、味がどう変わっていくかを検証していました。100回程度で納豆はすでにとろとろになり、糸が切れやすくなってくるのですが、実際に魯山人が提唱したのは、それよりもっと多い400回以上のようで、そこまで混ぜると納豆はさすがにどろどろになり、粘度が増しています。

結果、納豆は混ぜる回数が多いほど、糸は切れやすくなり、うまみ成分が増して美味しくなることが分かりました。

この番組を見てからは、納豆を食べる時は必ず100回以上は混ぜています。400回はさすがに時間がかかるし肘が痛くなってくるので、やっていません。100回程度でも、食べるときに糸が切れやすくなっているので、箸を空中でくるくるさせる厄介な動作は必要なく、綺麗にいただくことができます。食感もとてもクリーミーで、うまみも多く感じます。

納豆が苦手という人は、多様な理由があるかと思いますが、納豆の食べ方を知ることによって、私のように美味しく食べられるようになったケースもあるので、参考になれば嬉しいです。

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